さて、あんな祭りごとがあって数日。
特に戦闘もなく、進撃していった。
「最近戦闘ないですねぇ・・・」
「そうだなぁ・・・、まぁその分無駄な犠牲が出なくていいんだがな」
クロフネとラルクが通常回線で話していた。
今、クロフネたちは各小隊に分かれキャンプ地を後にしていた。
「にしても・・・まったく戦闘にならないって言うのは・・・」
「あるのは・・・MSの残骸や戦闘後ばっかりですからね・・・。 かといって、最近戦闘したという連絡は入ってませんし・・・」
クロフネの小隊は、森の中にいたはずであったが、何故か一箇所だけ大きな焼け野原となっている所で周辺調査をしていた。
「陸戦ジムに・・・似非ガンダム・・・ザクに・・・グフ? 隊長なんかおかしくありませんか?」
リムルが不思議そうに訊いた。
「確かにな・・・。 只の戦闘で、これだけの残骸なら応援要請が来ていたはずだ・・・」
そこの焼け野原一体には、MSの残骸がゆうに両軍一〇機を超える物だった。
「いったい何があったんでしょうね?」
「わからん・・・。 色々引っかかるな・・・」
2時間で周囲調査は終わり、小隊は進撃した。
少し行くと、また森が続いていた。
「視界が悪いの嫌だなぁ」
「ぼやくなよリムル」
「だって・・・前だってあんまり見えないし、援護しにくいんだもん」
ガナードとリムルが通信していたが、相手も状況は同じである。
しかし、リムルはこういった視界が悪いという条件では、何故かリリースが適切な指示を出しても弾を外すことが多かった。
「リリィ、なんか聞こえたりしないか?」
「いいえ・・・今は何も・・・」
リリースは常に索敵をしながら、小隊に情報を送っているが、今の所は何も反応がないようであった。
森が開けた。
やっと見渡せる広い所に来たと思ったら・・・。
「なっ・・・」
「なんですかこれ!?」
「冗談じゃねぇよ・・・」
「あぁまったくだ・・・」
「な・・・なんで・・・」
そこに広がっていたのは、まるで地獄のようだった。
さっきいた場所と同じような感じであったが、MSの残骸が所々にあった。
数十機。
ぱっとみ、一〇〜二〇の両軍のMSの残骸があった。
「いったい何があったんだ・・・」
「ありえねぇだろ・・・中隊クラスぐらいの部隊・・・又はそれ以上の部隊だろ・・・」
「各機、この周囲をくまなく調査。 リリィは索敵範囲を広げてくれ」
「「「「了解」」」」
各機は、周辺調査を開始した。
この場所は、かなり広く開けていて、障害となるのは所々にある岩山ぐらいであった。
1時間で周辺調査をあらかた片付けた。
「どうだ?」
「それが・・・」
「?」
なんと驚くべきことに、ジオン軍の機体はほんの六機ほどで、後の残骸すべてが連邦軍の機体であった。
「う〜ん・・・小隊クラスぐらいか・・・。 他に何か変わったところは?」
「それがですね、連邦の機体もこちら側の機体も、ビームサーベルでの攻撃によって大破させられているんですよ」
「なんだと・・・。 味方の場合だとゲルググぐらいしかビーム格闘兵器はないな・・・。 しかしここ辺りの小隊でゲルググを補給されたなんて話は聞かないしな・・・」
「ですよね・・・。 なら味方が裏切った・・・でも数がおかしいですよね」
「うん・・・。 他に分かったことはないか?」
「あのですね、こんな物見つけてきました」
リムルが持ち帰ったものは、隊長機体にだけついている戦闘レコーダーだった。
戦闘履歴や、通信内容なども記録してある物である。
「レコーダーか・・・。 リリィ再生できるか?」
「どうでしょうね・・・少し時間をいただけますか?」
「かまわんよ」
リリィはレコーダーが再生できる状態であるかと、暗号化されているのでそれの解読プログラムを走らせる準備をした。
「リリィがさっきのを解読するまで、他の奴は全周囲警戒だ」
「「「了解」」」
各機は全周囲を警戒した。
今は静かなものであるが、皆はこの静けさが不気味でたまらなかった。
三〇分後。
「皆、分かったんで戻ってきてください」
「「「「了解」」」」
各機リリィのいる場所へ戻った。
「えっとですね・・・衝撃的な記録でした。 戦闘履歴からは連邦軍小隊との戦闘だったそうです。 ですが・・・」
「ですが?」
「その戦闘中、連邦機体が味方撃ちされたみたいなんです」
「「「「なんだって!?」」」」
味方撃ちするということは、明らかに背中から撃たれるということがわかる。
「それで、何機も失ってこっちはどうなっているか分からなかったみたいです。 そして最後はこの通信を聞いていただければ・・・」
さっきのレコーダーを再生した。
(ヒャッハー!!敵は味方撃ちしてやがるぞ!!)
(まて、明らかにおかしいだろ!?)
(そんなこと関係ないですって!!今がチャンスなんですよ!!)
(あっ!!こら!!突っ込む奴があるか!!)
(ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!なんだこいつ・・・やめろぉ・・・やめろぉぉぉぉ!!!!)
(おい!!どおした!!応答しろ!!)
(マーズ機信号ロストしました・・・)
(クッソ!!いったい何が起こってるんだ!!)
(た・・・隊長・・・あれ・・・あれを見てください!!)
(どうした!?)
(蒼い・・・蒼い機体です・・・連邦軍にこんな機体は・・・)
(なっ・・・なんだこいつ!!)
(ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!)
(そんなバカな!!弾が当らない!!ロック速度よりか速く動いてやがる!!)
(こんなことがあってたまるかぁ!!)
(あぁ・・・やめろ・・・くるなぁ!!くるなぁ!!っあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
(クソ野郎落ちやがれってんだ!!)
(あぁぁぁぁぁがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
ガガガガガガガッ…。
「レコーダーはここまでです」
「「「「・・・・・・」」」」
何かとの戦闘ではあったが、両軍に敵対しているようであった。
「私の推測ですが、この蒼い機体は単機で両軍を潰し、後から来た連邦軍も潰したのだとおもいます」
大胆な推測だが、そうとしか今は考えざる終えない。
「蒼い機体か・・・。 そいつ一機に倒されたとなると、おそらくそいつは連邦軍側の機体だな」
クロフネが重々しく話した。
「何でですか?」
「少し前に噂を聞いたことがある。 連邦軍側でとある機体を開発していて、その機体は見境なく目の前にある”物”を破壊するそうな・・・」
「ではこれがそうと・・・?」
「まぁあくまで噂だからな、確証はないがそれに近いものだと俺は思うぞ」
「「「「・・・・・・」」」」
このような機体が出来てしまえば、ジオン軍は壊滅するであろう。
しかし、味方撃ちをする蒼い機体はこの噂以外聞いたことがなかった。
ビー!!ビー!!ビー!!ビー!!
「どうした!!」
「私のセンサーに機体反応です!! かなりの速度でこちらに近づいていています!!」
「お前ら機体にすぐ乗れ!!嫌な予感がする・・・」
「「「了解」」」
「隊長の嫌な予感は当るんだよね・・・」
「さて・・・今日は何が出てくることか・・・」
「・・・・・・・っ」
「リリィ、敵は何機だ?」
「一機・・・一機でこちらに向かってきてます!!」
静かだった場所が一気に殺気に溢れた。
砂煙を上げ、何かはやって来た。
「リムル!!砲撃開始だ!! ラルク、ガナードついて来い!!」
「「「了解!!」」」
「リリィは周囲警戒し、データ取っておけ!!」
「了解!!」
リムルは砲撃を開始。
クロフネ、ラルク、ガナードは砲撃開始とともに相手に向かっていった。
そして、クロフネ達が見た機体は全身真っ蒼な元が陸戦ジムであるような機体だった。
「やっちまったな・・・」
クロフネはつぶやいた。
蒼い機体は、リムルの砲撃などまったく気にしていない様子であった。
段々と近づいて来てその時気が付いた。
いゃ、気が付くのが遅かったのかもしれない。
データ上、どの連邦軍の機体よりも数段上の機動性をしていた。
「た・・・隊長・・・奴はいったい?」
「あぁ・・・もぉ確実だな。 こいつが残骸を作り出した元凶だな」
「俺達だけで・・・相手になるんですかね?」
「いざとなったら俺を孤立させてお前らは下がれ」
「「何言ってんですか!!」
確信があり孤立は、ほぼ死を意味していた。
「そんな状況になったらのことだ。 だが、なったら確実に下がれよ。 それでこのことをキャンプしてる奴らに伝えろ」
「それだったら隊長が・・・」
「バカ野郎!!お前らがこれだけの機体を相手できると思ってんのか!!」
二人はザク、クロフネはグフ・カスタム。
機体性能を見たらグフ・カスタムは断然上で、時間稼ぎをするならその性能を生かし、二人を逃がすことをクロフネは取った。
「わかりました」
「おい!!ガナード!!」
「隊長の命令だ!!」
「でも・・・」
「まったく俺は幸せだね。 いい部下がいて。 さてやるぞ!!」
「「了解!!」」
ババババババババババッ!!
バキューン!!バキューン!!
牽制で、射撃武器を使うが、見事に相手は避わしてきた。
「むちゃくちゃな運動性だな!!」
クロフネはヒート・サーベルを構え、格闘体制に入った。
相手は、始めから片手にビームサーベル、もう片方にマシンガンを装備し、無駄弾を使うことなく突進してきた。
「あまい!!」
クロフネの一刀が入ったと思った瞬間。
ギュブゥゥゥゥゥンッ!!
相手は恐ろしいスピードで横に回避。
「何!!」
クロフネはすぐさま旋回。
しかし、遅かった。
ダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!
容赦なく相手からの射撃。
「くっ!!」
とっさにシールドを持ってきたが、右脚部に被弾した。
「隊長!!」
リムル、ラルク、ガナードも支援砲撃をしているが、まったく当る気配がなかった。
「なんで・・・なんであたんねぇんだよ!!」
ラルクが前進しかけたのをガナードが止めた。
「やめろ!!それ以上前進したらいざという時対応できんぞ!!」
「でもよぉ隊長が!!」
まったく支援砲撃が当らないなら、格闘をしたほうがいいのだが、今の状況では格闘しに行った所で何にも役にたたない状況だった。
「ケッ!!俺もまだまだってことか!!」
グフ・カスタムはヒートロッドを伸ばした。
しかし、相手は横に回避。
「あまい!!」
クロフネは、ヒートロッドで薙ぎ払おうとした。
しかし、またも回避された。
「こいつっ!!」
ガトリングシールドで牽制し、間合いをはかるが中々間合いが詰らなかった。